整形外科で坐骨神経痛の治療として尾てい骨に注射をしたら、想像以上に痛かった。
そんな経験をお持ちの方、きっと次の治療に不安を感じていることでしょう。
実は、尾てい骨の注射は仙骨硬膜外ブロック注射のこと。
昔はとても痛い治療として知られていましたが、最近では治療方法も大きく進歩。
そんなに痛みを感じることなく治療できるようになっています。

ペインクリニックでの治療選択肢
ペインクリニックでは、坐骨神経痛に対して複数の治療法があります。
ブロック注射の種類
- 仙骨硬膜外ブロック注射
- 腰部硬膜外ブロック注射
- 神経根ブロック注射

その他、投薬治療やリハビリテーションなども併用。患者さんの症状に合わせて最適な組み合わせを選択します。
仙骨硬膜外ブロック注射って何?
お尻の仙骨という部分(尾てい骨の上の部分)から局所麻酔薬を神経周りに注射する治療法。
坐骨神経痛などの腰の痛みや足のしびれを緩和してくれます。
注射する場所は、お尻の割れ目から頭の方に上がっていくと見つかる2つ目のくぼみ。
実際にご自身で触ってみると、仙骨がお尻の近くにあることが実感できますよね。

実際の治療の流れ
神経の通っている脊柱管という骨の穴まで針を入れ、局所麻酔(場合によってはステロイド薬も追加)を注入します。
使用する針の特徴
- 長い針を使用するが、非常に細い
- それほど強い痛みは感じにくい
体勢 うつ伏せでお腹の下にクッションを入れ、体を丸くして注射。この体勢が痛みを軽減するポイントです。
安全性の高い治療
他の神経ブロックと比べて比較的簡単で安全性も高いため、
ペインクリニックだけでなく整形外科でも広く行われている治療法です。
注射後の注意点
注射後は下肢のしびれや腰の重だるさを感じることがあります。
そのため注射後は20〜30分程度院内で休憩してから帰宅していただきます。
その後も感覚が鈍い感じが残るかもしれませんが、これは一時的なもの。
時間が経てば自然に治りますのでご安心ください。
どんな症状に効果的?
仙骨硬膜外ブロックが適応となる症状は幅広く、以下のような疾患に効果があります。
- 下肢神経症状を伴う腰椎椎間板ヘルニア
- 椎間板性腰痛症
- 腰部脊柱管狭窄症

ただし、痛みの原因によっては他のアプローチが必要な場合も。
- 椎間関節性の腰痛→椎間関節への関節内注射
- 仙腸関節性の腰痛→仙腸関節への注射
診察で原因をしっかり鑑別してもらうことが大切です。
治療の継続性
1度の注射で完了ではありません。間隔をあけて何度か繰り返し注射を行うことで、神経の炎症を抑え、痛みの悪循環を遮断。痛みを再発させないようにしていきます。
そのため継続的な通院が必要になりますが、これが確実な改善への道筋です。
効果がない場合の選択肢
仙骨硬膜外ブロック注射で痛みが改善しない場合は、次のステップを検討します。
- 神経根ブロック
- 手術などの他の治療法
一つの治療で改善しなくても、諦める必要はありません。
ペインクリニックの強み
痛みの専門科として、患者さん一人ひとりの症状に合わせた最適な治療法を提案。
技術の進歩により、以前ほど痛みを感じることなく治療を受けていただけるようになりました。
つらい痛みでお悩みの方、一人で我慢せずにご相談ください。
痛みのない快適な生活を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
記事の監修
医師 田部田 英之
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任
2025年 荻窪 痛み&リハビリクリニック院長就任
