慢性腰痛は多くの方が悩まれている症状のひとつです。「何年も続いているから治らないのではないか」「どこに行っても良くならなかった」と不安に感じている方も少なくありません。
しかし、慢性腰痛は適切な評価と治療を組み合わせることで、期待できるケースが多くあります。
慢性腰痛は、骨や筋肉などの問題だけが原因ではありません。
姿勢のクセ、生活習慣、仕事環境、ストレス、睡眠の質など、複数の要因が重なり合い、
痛みが長期化しているケースが多く見られます。
そのため、レントゲンやMRIで異常が見つからないのに腰痛が続くということも決して珍しくありません。

ゆがみ


慢性腰痛が治りにくい理由
慢性腰痛が改善しにくい理由の一つは、原因が一つではないということです。
「骨に異常がない=問題がない」というわけではなく、身体の使い方や筋力バランス、痛みに対する神経の過敏さなどが影響している場合もあります。
そのため、「この治療を受ければ必ず治る」という方法は存在せず、一人ひとりの状態に合わせた治療の組み合わせが重要になります。
ここで腰痛の治療を行う整形外科とペインクリニックの治療の違いをお話します。
整形外科・ペインクリニックで行う慢性腰痛の治療
整形外科とペインクリニックは、どちらが優れているというものではなく、役割が異なります。

~整形外科~
原因を医学的に評価・診断します。
画像検査(MRI・レントゲン等)を用いて、以下のような点を確認します。
- 骨の変形や加齢変化
- 椎間板の状態
- 神経の圧迫の有無
- 筋肉や靭帯の損傷
薬物療法、物理療法、リハビリテーションなどを組み合わせ、身体の構造や動作の改善を目指した治療を行います。
慢性腰痛の痛み背景を整理し、痛みの再発しにくい身体づくりを目指すことが整形外科の役割です。

~ペインクリニック~
慢性腰痛では、最初の原因が改善していても、痛みを感じる神経が過敏な状態になっていることがあります。
下記の治療は特に、痛みが強く動くことが難しい時期には有効な選択肢の一つとなります。
- 神経ブロック注射
- 硬膜外ブロック注射
- 理学療法、運動指導
- 薬物療法
痛みそのものをコントロールする治療に重点を置き、生活の質を高めていきます。
・整形外科:慢性腰痛の原因を評価し、姿勢や動作、筋力を含めて身体を整える
・ペインクリニック:痛みを適切に管理し、生活の質(QOL)を高める
慢性腰痛の改善には、「動ける身体をつくること」と「痛みをコントロールすること」の両立が重要です。
この二つを適切に組み合わせることで、腰痛の改善につながりやすくなります。
慢性腰痛でお悩みの方へ
慢性腰痛は、決して諦める必要のある症状ではありません。
生活習慣や身体の使い方を見直し、必要に応じて専門的な治療を組み合わせることで、痛みが気になりにくい状態を目指すことは十分可能です。
長引く腰痛でお困りの方は、一人で悩まず、専門医に相談することをおすすめします。
