ご家族が帯状疱疹になってしまい、お子様への感染が心配。そんな不安なお気持ち、よく分かります。
まず安心していただきたいのは、一般的には空気感染することはないということ。
正しい知識と対策で、ご家族を守ることができます。

そもそも帯状疱疹って何?
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスが再び活動を始めることで起こる病気です。
このウイルス、実はみずぼうそう(水痘)と帯状疱疹、両方を引き起こす厄介者。子どもの頃にみずぼうそうにかかって治っても、ウイルスは体の中にずっと潜んでいるんです。
そして大人になってから、ストレスや疲労で免疫力が下がったタイミングを狙って再活動。帯状疱疹として姿を現します。
なんとも賢いウイルスですね。

高齢者だけの病気じゃない
帯状疱疹と聞くと、高齢者の病気というイメージがあるかもしれません。
でも実は、成人なら誰にでも起こりうる病気なんです。
症状の特徴は、神経に沿った帯状の痛み。その後、赤い水疱のような発疹が痛みと同じように帯状に現れます。
中には発疹が出ないケースも。
症状がひどくなると、水疱が破れてぐじゅぐじゅの状態に。この時に出る浸出液にはウイルスが含まれているため、周囲への感染リスクが心配されています。
感染するとどうなるの?
もし水痘帯状疱疹ウイルスに感染したらどうなるか。実は、いきなり帯状疱疹になることはありません。
子どもでも大人でも、このウイルスへの免疫がない人が感染した場合、まず発症するのはみずぼうそう(水痘)です。
みずぼうそうって軽い病気のイメージがあるかもしれませんが、実は要注意。特に成人が発症すると重症化しやすく、妊婦さんの場合は流産の原因になったり、生まれてくる赤ちゃんに影響を与える可能性もあります。
感染経路は?空気感染の心配は
帯状疱疹の感染、基本的には接触感染です。空気感染ではありません。
接触感染とは、患者さんから出るウイルスに触れた手などで、自分の体内にウイルスを取り込んでしまうパターン。例えば、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ってしまうケースですね。
例外的なケース
ただし、帯状疱疹の患者さんが免疫不全(HIVや血液の病気など)の場合や、全身性の帯状疱疹の場合は別。気道内でウイルスが大量に増えている可能性があるため、空気感染することもあるとされています。
空気感染は飛沫から出たウイルスが乾燥しても空気中を漂い続け、感染力も強いもの。でも、帯状疱疹の患者さんが免疫不全である可能性は低いので、一般的には空気感染を心配する必要はありません。
家族を守る対策法
基本は接触感染の予防
- 手洗いの徹底
- 患部に直接触れない
- タオルや衣類の共用を避ける
- 患者さんの使用した物は適切に消毒
ウイルスが付着した手で触れてしまわないよう、日頃から意識的に手洗いを心がけることが大切です。

もし帯状疱疹にかかったら
- 早めの受診:発疹が現れる数日前から痛みがある場合、早めに病院を受診し、抗ヘルペスウイルス薬による治療を開始することが、重症化や後遺症の予防につながります。
- 痛みのケア:痛みが強い場合は、我慢せずにペインクリニックへ。鎮痛薬や神経ブロックなどの治療を受けることで、痛みが後に残るのを防ぐことができます。
正しい知識と適切な対策で、ご家族への感染リスクをしっかり減らしていきましょう。心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
記事の監修
医師 田部田 英之
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任
2025年 荻窪 痛み&リハビリクリニック院長就任
